佐久間良子のキャリアにおいて最大のターニングポイントとなったのが、1963年公開の水上勉原作・田坂具隆監督による映画『五番町夕霧楼』です。それまでの清純派のイメージを完全に打ち破り、京都・西陣の遊廓に売られた薄幸の少女・夕子役を体当たりで熱演。生と性の哀切、そして内に秘めた情念を見事に演じ切り、ブルーリボン賞主演女優賞をはじめとする名だたる映画賞を独占しました。
この作品の成功により、彼女は名実ともに日本を代表するトップ演技派女優へと脱皮を遂げます。さらに1981年には、橋田壽賀子脚本のNHK大河ドラマ『おんな太閤記』で主人公・ねね(北政所)役を主演。最高視聴率36.8%、平均視聴率31.8%という驚異的な数字を記録し、「おかか」の愛称とともに日本中の茶の間を虜にしました。映画会社専属制度の崩壊という時代の荒波を乗り越え、自らの実力でテレビドラマ界の頂点を極めた瞬間でした。