物語開始時点でゆりが変身できなかった背景には、シリーズ屈指の悲痛な惨劇がありました。かつて単独で砂漠の使徒と戦っていたキュアムーンライトは、仲間を作らず一人で戦い続ける傲慢さを敵に突かれ、心の大樹の前でダークプリキュアとの死闘に追い込まれます。その窮地において、パートナー妖精のコロンが彼女の身代わりとなって攻撃を受け、消滅してしまうという残酷な結末を迎えました。
相棒の喪失と敗北の絶望によって、変身に必要な「ココロの種」は真っ二つに割れ、その力を失います。妖精が明確に命を落とす描写はニチアサの女児向けアニメとしては前代未聞のハードな展開であり、ゆりの心には「自分がコロンを殺してしまった」という痛恨の自責の念が深く刻まれました。彼女が長い間見せていた冷徹な態度は、拭い去れない罪悪感と心の傷を覆い隠すための鎧だったのです。