多くのプロミュージシャンが「日本で最も歌が上手い歌手」として玉置浩二の名を挙げるのは、単なる音域の広さや音程の正確さだけが理由ではありません。感情そのものを音色に変換する圧倒的な表現力とブレスコントロールにあります。
彼のボーカルの真骨頂は、息の混ざった繊細なウィスパーボイスから、胸腔を震わせるパワフルなロングトーンへの滑らかなグラデーションです。まるで耳元で語りかけられているかのような親密さを感じさせた直後、一気に空間を支配するダイナミクスが聴き手の心を激しく揺さぶります。
さらに、一音一音に宿る「言葉の重み」も特筆すべき点です。歌詞の母音や子音の響かせ方を緻密に変化させ、喜びや哀哀、後悔、祈りといった複雑な感情をありありと描き出します。技術を誇示するための歌唱ではなく、心の内側をそのままさらけ出すような魂の歌声だからこそ、理屈を超えて涙が込み上げてくるのです。