インターネット上の就職相談掲示板では、運転免許にまつわる根拠のない都市伝説がしばしば拡散されています。その代表例が「AT限定免許だと書類選考で落とされる」「過去の交通違反や減点は履歴書の賞罰欄に書かないと経歴詐称になる」という2つの言説です。これらの真相を客観的事実から解剖します。
まず、「AT限定は就活で不利になる」という説についてです。日本自動車販売協会連合会等の統計によると、現在国内で販売されている乗用車のうちAT車(CVT・EV含む)の普及率は約98%以上に達しています。一般企業の営業車両や公用車においてもMT車を採用しているケースは極めて稀であり、一般的な営業職・事務職・総合職の採用においてAT限定であることがマイナス評価につながることはほぼ皆無と言えます。ただし、インフラ工事、運送業、特殊車両を扱う現場職など、一部の業界では依然としてMT仕様のトラックやダンプが稼働しているため、募集要項に「MT必須」と明記されていないかどうかの確認だけは怠らないようにしてください。
次に、過去の交通違反歴や行政処分に関する誤解です。履歴書の「賞罰欄」に記載が法的に義務付けられている「罰」とは、原則として「刑事罰(有罪判決による罰金刑・懲役刑など)」を指します。いわゆる反則金の納付で処理される青切符(軽微な速度超過や駐車違反など)の行政処分は前科に該当しないため、履歴書に書く必要は一切ありません。しかし、酒気帯び運転や危険運転致死傷罪、大幅な速度超過などで赤切符を交付され、略式起訴等で「罰金刑」に処された経歴がある場合は、刑事罰に該当するため隠蔽すると告知義務違反に問われる可能性があります。運送業界など運転記録証明書の提出を義務付けている企業では、過去の違反歴が筒抜けになるため、事実を隠蔽することは不可能です。