時計の針を少し巻き戻してみよう。1999年に開設されたインターネット掲示板「2ちゃんねる」は、創設者である西村博之の手によって、誰もが匿名で本音を吐き出せる解放区として産声をあげた。名無しさんたちの雑談から生まれた『電車男』の純愛劇が書籍化・映画化され、社会現象へと昇華した記憶を持つ読者も少なくないはずだ。
だが、その牧歌的な時代は長くは続かなかった。管理人権限の移譲やサーバー運営を巡る激しい主権争いの末、ジム・ワトキンスへの運営移行、そして「5ちゃんねる」への名称変更という劇的な分裂劇が幕を開ける。この激動の過渡期に爆発的な成長を遂げたのが、膨大なスレッドから感情を揺さぶるレスを抽出して再構築する「まとめサイト」の存在だった。混沌とした掲示板のログを数分で読めるパッケージへと仕立て上げる編集力は、Web上のアテンション・エコノミーを瞬く間に制圧したのである。