紀元前三年、垂仁天皇の御代に創建されたと伝わる椿大神社は、悠久の時を超えて祈りを紡いできた。平安時代初期に編纂された格式高い法規集『延喜式神名帳』にもその名が刻まれており、古くから伊勢国一の宮として朝廷から庶民に至るまで篤い崇敬を集めてきた歴史を持つ。
全国の神社を統括する神社本庁の傘下にあっても、独自の霊的威厳と格式を保ち続ける姿は際立つ。鈴鹿山脈の主峰・入道ヶ岳の麓に広がる境内全域が神体山としての霊気を帯びており、足を踏み入れるだけで心身の澱みが洗い流されていくような清冽さに満ちている。千数百年にわたって受け継がれてきた伝統的な祭祀の厳格さは、現代において失われつつある日本古来の信仰の原風景をありのままに提示している。