多くのファンを不安に陥れているのが、検索エンジンやSNSのサジェスト欄に現れる「打ち切り 理由」という不穏なフレーズです。報道や出版業界の一次情報を入念に調査したところ、本作が打ち切られたという事実は一切存在しません。ではなぜ、このようなデマが信憑性を持って拡散されてしまったのでしょうか。その背景には、Webカルチャー特有の3つの要因が絡み合っています。
第1の要因は、アニメ1期の見事すぎる幕引きです。アニメ版は原作ライトノベルの第3巻にあたるエピソードまでを丁寧にアニメ化し、物語としてのカタルシスをしっかり持たせてフィナーレを迎えました。中途半端なクリフハンガー(謎を残したままの引き)を作らず、1本の作品として綺麗に完結させたことが、ライト層に「ここでシリーズそのものが終了したのではないか」という誤解を植え付ける結果となりました。
第2の要因は、原作小説投稿サイト「小説家になろう」における連載ペースの変動です。作者のハヤケン氏は商業出版やコミカライズ監修、アニメ対応に伴う多忙から、WEB版の更新間隔が一時的に数カ月単位で空く時期がありました。これを見た一部の読者が「エタった(連載中止になった)」「商業側で打ち切りになったのか」と早合点し、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)や知恵袋などで疑問を投稿した履歴が検索データとして定着してしまったのです。
第3の要因は、コミカライズ版『英雄王、武を極めるため転生す』の配信形態です。コミックファイアにて連載を担当するくろむら基人氏の作画クオリティは極めて高く、迫力ある戦闘シーンが高く評価されています。しかし、WEB漫画特有の「○話前編・後編」といった細分化配信や、単行本作業に伴う休載期間が挟まるたびに、早とちりしたユーザーが「漫画版が打ち切りになった」と誤った噂を流布してしまった経緯があります。