カルチャーの視点からこの街を語る上で欠かせないのが、仙台を愛する人気作家・伊坂幸太郎の存在だ。彼の代表作である傑作サスペンス・ミステリー小説『ゴールデンスランバー』では、主人公が国家権力の巨大な罠から逃走劇を繰り広げる舞台として、仙台市街地とともに宮城野区周辺のリアリティある空間描写が物語に異様な緊迫感を与えていた。
地下化された駅の空気感や、かつての旧街道(原町宿)が交差する入り組んだ裏路地。日常と非日常が紙一重で交錯する独特の街並みは、物語のファンにとって今も特別な叙情を湛えている。路地裏に迷い込めば、小説のワンシーンのような追走劇の幻影が頭をよぎる。カルチャーの文脈が重なることで、駅の周辺風景は単なる住宅街以上の陰影と奥行きを獲得しているのだ。