プロレスの試合において、選手が技を受けた後に動けなくなる場面は珍しくありません。しかし、この日のリング上で裁いていたレフェリーの松井幸則氏は、高山がマットに倒れ込んだ瞬間の「脱力感」と「目の焦点」から、通常のダメージとは決定的に異なる異常事態を即座に察知しました。
ヤス・ウラノが高山をカバーした際、レフェリーは機械的に3カウントを叩くのではなく、高山の耳元で意識確認を実施。一切の反応がないことを確認すると、ただちに試合をストップし、待機していたリングドクターと救急スタッフをリング上へ要請しました。この迅速な初動判断が、首の骨折や神経損傷に伴う二次被害を最小限に食い止めるうえで極めて重要な役割を果たしました。
過去のプロレス史においては、現場の判断遅れが最悪の結果を招いた事例も存在します。しかしこの日のDDTのリングでは、レフェリーの鋭敏な観察眼と冷静な試合停止判断により、無理に体を動かすことなく頸部を固定した状態で迅速な救急搬送へと繋げられました。