物語の根幹であり、読者を最も牽引した謎が「ともだち」の正体です。結論から言えば、原作漫画における「ともだち」は2人存在します。前半から中盤にかけて世界を牛耳っていた1代目は「フクベエ(服部哲也)」であり、2015年に理科室で山根に射殺された後に「復活」を遂げた2代目は「カツマタ君(勝俣忠信)」です。
フクベエは、ケンヂたちの幼なじみでありながら影が薄く、承認欲求と自己顕示欲に支配された人物でした。彼は少年時代、万博に行けなかったにもかかわらず「行ったフリ」を演じ、首吊り坂の幽霊屋敷や理科室でのスプーン曲げといったトリックを用いて仲間内で特別な存在になろうと画策していました。しかし、その嘘を見抜かれたり無視されたりした屈辱が、後の世界規模の復讐劇へと変貌していきます。
一方、2代目のカツマタ君は、原作の終盤までほぼ名前すら忘れ去られていた存在でした。駄菓子屋「ジジババ」で宇宙特捜隊のバッジを万引きした犯人に仕立て上げられ、謝る機会を奪われたままクラス内で「死んだもの」として扱われた少年です。彼はフクベエの死後、整形技術を用いてフクベエの顔を手に入れ、「世界を絶滅させるシナリオ」を完遂しようと暴走しました。なお、後に刊行された『21世紀少年 完全版』のラストにおいて、浦沢直樹氏はカツマタ君の素顔を描き足し、ケンヂが中学校の屋上で彼に謝罪するシーンを加筆したことで、物語の輪郭が一段と鮮明になりました。
対して堤幸彦監督が手掛けた実写映画版(第3章)では、物語の整合性とエンタメ性を高めるため、「カツマタ君が最初からフクベエになりすましていた」という映画独自の設定に変更されました。本物のフクベエは小学生時代に首吊り坂の飛び降り事故ですでに死亡しており、佐々木蔵之介氏演じるフクベエ自身が、実はカツマタ君が化けた姿だったというプロットです。この大胆な翻案は、2時間半の映画枠で観客に納得感を与えるための巧みな再解釈として、当時の映画ファンや原作読者の間でも大きな話題を呼びました。