本作の根底に流れる感情の核は何なのか。英語圏における熟語「now and then」は通常「時々」「折に触れて」を意味しますが、楽曲のコンテクストにおいては「今(Now)と、あの黄金の日々(Then)」という対比のニュアンスが色濃く漂います。
制作当時、オノ・ヨーコとの愛の生活のなかで綴られた私的なバラードであると同時に、解散後の確執を乗り越え、かつての盟友ポール・マッカートニーへ向けた無言のメッセージとして聴く者の胸を打ちます。
【歌詞日本語訳・抜粋】
I know it's true, it's all because of you
(それが本当だと分かっている、すべては君のおかげなんだ)
And if I make it through, it's all because of you
(もし僕がこの暗闇を乗り越えられるとしたら、それも君のおかげなんだ)
And now and then, if we must start again
(そして時折、もし僕たちがやり直さなければならないとしても)
Well, we will know for sure that I will love you
(僕たちは確かに分かっているはずだ、僕が君を愛しているということを)
Now and then, I miss you
(今でも時々、君に会いたくてたまらなくなる)
Oh, now and then, I want you to be there for me
(ああ、時々でいいから、僕のそばにいてほしいんだ)
スタジオ作業中、80代を迎えたポールとリンゴが涙をこぼした最大の理由は、メロディの切なさだけではありません。「君のおかげだ」「そばにいてほしい」というフレーズが、1980年12月8日に突如として断ち切られたジョンとポールの対話そのものとして鳴り響いたからです。ポールはベーストラックに加えて、ジョージの生前の演奏スタイルを忠実にオマージュしたスライドギターソロを自ら演奏し、重ね合わせました。4人の魂がトラック上で再会を果たした瞬間でした。