ネット検索で「関孫六」と入力した際、サジェストに「錆びる」「耐久性」といったネガティブな単語が表示され、購入を躊躇するケースがあります。しかし、金属工学と実際の使用実態を掘り下げると、これらには明確な理由と誤解が存在します。
まず、関孫六の包丁が錆びる理由についてです。多くの人が「ステンレス=絶対に錆びない金属」と誤認していますが、これは科学的に不正確です。包丁に使われる高硬度ステンレス鋼は、切れ味と刃持ちを出すために炭素(カーボン)が多量に含まれています。そのため、純粋な耐食性特化ステンレスに比べると酸化に弱い特性を持ちます。具体的に錆を誘発する典型的な原因は以下の3点です。
- 塩分・酸・汚れの付着放置:レモンやトマトなどの酸性食材、塩分を多く含む肉・魚を切った後、水洗いせず放置すると「孔食(点錆)」が発生します。
- 塩素系漂白剤の使用:除菌目的でキッチンハイターなどの塩素系漂白剤に浸け置きすると、ステンレス表面の不動態被膜が破壊され、短時間で赤錆や黒ずみが生じます。
- もらい錆:金属製シンクや濡れた鉄フライパンの上に重ねて置くことで、他方の金属から錆が移行(もらい錆)して変色します。
次に、関孫六の包丁の寿命と耐久性について検証します。適切に研ぎ直しながら使用した場合、関孫六の寿命は10年から15年以上に達します。ブレード自体は日常的な再研磨で数ミリ摩耗しても本来の刃線とバランスを保てる肉厚設計がなされており、家庭用包丁としては一生モノに近い耐久性を備えています。刃こぼれや錆が発生した場合でも、後述する研ぎ直しによって元のコンディションに復元可能であり、「一度錆びたら使えなくなる」というネット上の言説は明白な誤解です。