バックネット裏の張り詰めた空気を切り裂くように、右腕の投じたストレートがミットを激しく叩く。球速表示はゆうに140キロ台中盤を超え、回転数の高さを示すボールの軌道は打者の手元でホップするような錯覚を与える。冬の過酷なトレーニングを経て、エースナンバーを背負う主力投手は下半身の粘りと胸郭の可動域を劇的に進化させた。昨年までの粗削りな力任せの投球は姿を消し、低めへの制球力と鋭く曲がり落ちるスライダーのコンビネーションが抜群の完成度を誇る。
打線もまた一新された。ただ振り回すだけの攻撃から脱却し、打席内での状況判断とファウルで粘る技術、甘い球を一撃で仕留める「ファーストストライクへの集中力」が徹底されている。中軸を担う大型スラッガーは、木製バットへの移行を意識したインサイドアウトのスイングを完全にモノにした。走塁意識も極めて高い。単打一本で三塁を陥れるアグレッシブな走塁は、練習試合でも対戦校バッテリーに強烈なプレッシャーを与え続けている。