SNS上では「世紀の怪物」「もし夜道で出会ったら失神する」といった驚愕の声が大半を占める一方、現地フィリピンにおける実態は極めて深刻な局面に立たされています。
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、フィリピンオオコウモリは絶滅危惧種(Endangered / EN)に指定されています。生息数は過去数十年の間に半分以下に激減しており、ワシントン条約(CITES)の附属書I(商業目的の国際取引禁止)に登録されている保護対象です。
生息数激減の背景には以下の要因が存在します。
- 急速な森林伐採と農地開発:原生林の減少により、主食となるイチジクの大木やねぐらとなる森が失われています。
- ブッシュミート目的の密猟:現地の一部地域では食用や漢方薬の原料として捕獲されてきた歴史があります。
- 観光客やドローンによる撹乱:ねぐらに過度に接近するエコツーリズムの弊害により、昼間の休息が妨げられるトラブルも報告されています。
ネット上の「怖い怪物」というセンセーショナルなバズとは裏腹に、現実のフィリピンオオコウモリは人間の開発行為によって住処を追われている「極めて脆弱な被害者」なのです。