2021年夏、コロナ禍という未曾有の困難の中で開催された東京2020オリンピック。その閉会式、聖火台の炎が静かに消えるクライマックスで流れたのが、女優の大竹しのぶさんと杉並児童合唱団による『星めぐりの歌』でした。
選曲の背景にあったのは、賢治が終生問い続けた「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」という精神です。国境や言語、分断を乗り越え、ひとつの地球という星の上で生きる人類の調和と追悼、そして未来への希望を託す楽曲として、これ以上ふさわしい旋律はありませんでした。静かな夜空へ祈りを届けるような歌声は、国内外から絶賛を集めました。