ホームドアの導入遅れを語る上で見落とされがちなのが、「車両側の世代交代」という決定的なファクターです。近鉄が2024年秋より順次導入を開始した新型一般車両「8A系」およびそれに続く新系列車両は、単なる快適性の向上だけでなく、ホームドア連動を前提とした次世代システムを搭載しています。
これまでの近鉄通勤車は、1960年代〜1980年代に製造された抵抗制御車や界磁チョッパ制御車が数多く現役で稼働しており、車両側にホームドアとの無線通信機能や定位置停止支援装置(TASC)を後付け改造するには莫大な費用と工数がかかっていました。しかし、新世代車両への統一が進むことで、以下のようなブレイクスルーが起きています。
第一に、「車両・地上間の自動制御連携」です。新型車両ではドアの開閉信号が地上側のホームドアと瞬時にミリ波通信等で連動し、駅員の目視確認や手動操作のタイムラグを最小限に抑えることが可能になりました。
第二に、「ドア位置の標準規格化」です。今後の通勤車両が4扉標準規格に統一されていくことで、これまで技術的障壁となっていた開口部のズレが徐々に解消され、より安価で確実なホームドアの量産配置が可能になるという好循環が生まれています。