「ここに来ると、なんだかホッとするんです」
そう語る20代のIT企業社員は、スマートフォンの画面ではなく、目の前に運ばれた湯気立つ味噌汁に視線を注ぐ。TikTokやInstagramでは、レトロな店内装飾やボリューム満点のマカロニサラダを収めた動画が数百万回再生を記録することも珍しくない。
演出されたレトロ風のテーマパークではない。時代を生き抜いてきた本物の質感が、タイパ(時間対効果)や効率ばかりを求められる若者たちの疲れた心に刺さっている。加工されない生の体験を求める層が、新たな顧客として店を支えているのだ。