終戦後、朴さんは持ち前の行動力とバイタリティを発揮し、広島の闇市でビジネスを展開していきます。戦勝国民(第三国人)としての立場を活用しながら物資を仕入れ、商売で確固たる成功を収めていきました。
しかし、富を得ても朴さんの心が晴れることはありませんでした。作中では、戦前には自分たちを虫けらのように扱っていた日本人たちが、戦後になって立場が逆転すると卑屈にすり寄ってくる姿に対し、朴さんが激しい怒りと虚しさを露わにする描写が存在します。
中沢啓治氏が描く『はだしのゲン』の凄みは、戦争の被害だけでなく、当時の朝鮮人差別や戦後の社会力学を忖度なくリアルに描写した点にあります。朴さんの苦悩と怒りは、不条理な時代を生き抜いた生々しい歴史の証言といえます。