サラダ油の主成分であるリノール酸(オメガ6系脂肪酸)は、人体に必要な必須脂肪酸の一つだ。問題はその「量」と「バランス」にある。現代の日本人の食生活は、外食や加工食品の増加に伴い、オメガ6を過剰に摂取する一方で、魚やエゴマ油に含まれるオメガ3を圧倒的に不足させている。
オメガ6の過剰摂取は、体内で炎症を引き起こすアラキドン酸カスケードを活性化させる。慢性的な体内のボヤ騒ぎ——すなわち微細な慢性炎症が、動脈硬化、アレルギー症状の悪化、自律神経の乱れを引き起こす主要因となる。
さらに深刻なのが、リノール酸を加熱した際に発生する毒性物質「4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)」の存在だ。近年の脳科学研究では、このヒドロキシノネナールが海馬の神経細胞を傷つけ、認知症やうつ病リスクを高める要因として特定されつつある。「油を変えたら頭がすっきりした」という体験談の裏には、こうした明確な生化学的メカニズムが存在している。