名匠ピーター・ジャクソン監督が指揮を執った現場では、アドリブや予期せぬトラブルが名シーンへと昇華する瞬間が多々あった。例えば、アラゴルン役のヴィゴ・モーテンセンが兜を蹴り飛ばして絶叫するシーン。あの叫びは演技ではなく、足の指を骨折した本物の激痛によるものだった。彼の徹底した役作りと怪我をものともしないプロ意識は、共演者たちを驚嘆させた。
弓の名手レゴラスを演じたオーランド・ブルームもまた、あばら骨を折る大怪我を負いながらも乗馬シーンの撮影に挑み続けた。さらに、魔法使いガンダルフを重厚に演じ切ったイアン・マッケランは、グリーンバックを多用する撮影手法に苦心しながらも、圧倒的な存在感で現場の精神的支柱であり続けた。制作を主導したニュー・ライン・シネマのスタッフ陣も、彼らが見せる妥協なき姿勢に度々圧倒されたという。