法律上廃止されてから75年以上が経過しているにもかかわらず、SNSや職場の雑談、知恵袋などのQ&Aコミュニティでは「明日の祭日はどこへ出かける?」「祝祭日手当」といった言葉が頻繁に飛び交っています。なぜ人々は「祭日」と言ってしまうのでしょうか。
第一の要因は、世代間における言語の口伝・生活習慣の定着です。戦前・戦中を生き抜いた親や祖父母世代は、身体感覚として「今日は新嘗祭」「今日は春季皇霊祭」という祭日文化を保持していました。その親から家庭内で「明日はお祭日だから学校が休み」と教え込まれた団塊世代や昭和世代の子どもたちが、無意識のうちにその言語表現を現代の後続世代へと引き継いでいます。
第二の要因は、「祝祭日(しゅくさいじつ)」という四字熟語の使い勝手の良さです。「祝日」という2文字よりも語感が良く、リズムが安定しているため、旅行会社のツアーパンフレットや飲食店の営業カレンダー、商業施設の「土・日・祝祭日休業」といった掲示において慣用句として残り続けました。
第三の要因として、カレンダーの「赤文字」に対する心理的認知が挙げられます。視覚的に平日(黒)と区別された赤文字の日を一括して「おめでたい日=お祭り的な日」と捉える認知パターンが定着しており、法律用語としての厳密な区別よりも、生活実感としての「ハレの日(非日常の休み)」を表す言葉として祭日が選ばれている実態があります。