ネット検索で「マルファン症候群 芸能人 一覧」といったワードを打ち込むと、数多くの著名人の名前がヒットします。しかし、報道各社のアーカイブや本人の公式発言を精査すると、事実として確認できるケースと、単なるビジュアルからの憶測であるケースが明確に二分されます。
日本国内で最も広く知られているのが、シンガーソングライターの米津玄師さんによる言及です。米津さんは2015年11月発売の音楽雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』などのロングインタビューにおいて、自身の高身長(公称188cm)や細身の体型、特異な骨格に関連して「マルファン症候群ではないかと診断されたことがある」という旨を率直に告白しました。当時のインタビューで語られた「自らの身体の違和感や他者との違いを受け入れ、表現へと昇華させていった」という内省的なプロセスは、多くのファンや同じ疾患・体質を持つ人々に強い勇気を与えました。現在も精力的に世界的ツアーや大型タイアップを展開しており、体調管理を行いながら第一線で圧巻のパフォーマンスを続けています。
歴史的・国際的な有名人に目を向けると、1984年のロサンゼルス五輪で銀メダルを獲得したアメリカの女子バレーボール選手、フロー・ハイマン(Flo Hyman)さんの事例が医学界でも広く知られています。1986年の日本国内での試合中、ベンチで突然倒れ急逝。死因はマルファン症候群に起因する大動脈解離でした。この悲劇をきっかけに、アスリートのメディカルチェックにおける心血管スクリーニングの重要性が世界中で叫ばれるようになりました。
また、第16代米大統領のエイブラハム・リンカーンや、作曲家のセルゲイ・ラフマニノフ、バイオリニストのニコロ・パガニーニなども、その異常に長い指骨や体型から「マルファン症候群であったのではないか」と後世の病跡学(パトグラフィー)で推測されていますが、これらはあくまで歴史的仮説の域を出ません。