アイスランドサッカー史を語る上で欠かせないのが、欧州トップクラブで確固たる足跡を残した歴代有名選手たちの存在と、その数奇なキャリアの軌跡です。
パイオニアとして君臨したのが、チェルシーやFCバルセロナでUEFAチャンピオンズリーグ制覇を経験したFWエイドゥル・グジョンセンです。1996年、17歳の彼が代表戦で「実の父親(アルノール・グジョンセン)」と交代してピッチに入った交代劇は、サッカー史上の伝説として知られています。現役引退後は代表チームのアシスタントコーチや欧州メディアの解説者を歴任。息子のスヴェイン・アロン・グジョンセンやアンドリ・ルーカス・グジョンセンもアイスランド代表FWとしてプレーしており、3世代にわたるサッカーDNAは現在も代表の前線を力強く牽引しています。
一方、2010年代の絶対的エースとしてプレミアリーグ(スウォンジー、エバートン)を沸かせたMFギルフィ・シグルズソンのキャリアは、激動の波に揉まれました。卓越したフリーキックの精度とゲームメイク能力で同国歴代屈指のスターとなったシグルズソンですが、2021年夏に私生活を巡る重大な疑惑が浮上し、長期の活動休止と捜査を余儀なくされました。2023年春に英国検察局(CPS)が証拠不十分として正式に不起訴処分を下したことで法的な嫌疑は晴れ、デンマークのリンビーBKを経て、母国の名門ヴァルル・レイキャヴィークでピッチに復帰。さらにアイスランド代表にも劇的な復帰を果たし、歴代最多得点記録を更新するなど、ピッチ上で失われた時間を取り戻すべく闘い続けています。
また、強烈なロングスローと豊かな顎髭、そして胸の前で手を叩き地鳴りのような叫びを響かせるバイキングクラップの音頭役として世界を熱狂させた闘将MFアーロン・グンナルソンも、中東カタールリーグなどを経てベテランとなった現在も精神的支柱として後進に熱い魂を伝え続けています。