全国の都市公園や庭園の池で、「パンやスナック菓子を与えないでください」という警告看板を目にする機会が増加しています。一部の来園者からは「昔から食パンをあげていたのに、なぜ今さら禁止なのか」という疑問の声も聞かれますが、専門家の調査によってその深刻な健康被害が明確に立証されています。
最大の理由は、鯉の消化器構造にあります。鯉には人間や犬猫のような「胃」が存在しない無胃魚です。食道から直接腸へとつながるシンプルな消化器官しか持たないため、小麦粉に含まれるグルテンや油脂分、糖分を効率的に分解・消化することが極めて困難です。人間用の食パンを池に投げ入れると、鯉の腸内で水分を吸って異常膨張し、重篤な消化不良や腸閉塞(便秘)を引き起こして死因となります。
さらに、人間用スナック菓子や油分の多いパンは水面に油膜を張り、溶存酸素量を急激に低下させます。食べ残されたパンくずはヘドロ化し、池全体の生態系を破壊する要因となるのです。なお、伝統的に用いられてきた「無塩の焼き麩」については、消化自体は良好であるものの、栄養バランスの偏りや池の富栄養化を招くリスクがあるため、専用フード以外の持ち込み餌を全面禁止とする自治体が増加しています。