松平健がシングルファザーとして生きる道を歩み始めたのは、2010年11月のことだった。元アイドルで女優の妻・松本友里さんが、都内の自宅で42歳の若さにして急逝。この衝撃的な訃報は日本中に大きな動揺をもたらした。当時、松平健は舞台公演のために福岡県に滞在しており、遠く離れた地で最愛のパートナーを失うという痛恨の極みに直面した。
死別の真相について、当時の報道各社や芸能関係者の記録は、過酷な介護生活と心身の不調が重なっていた実態を伝えている。松本さんは最愛の実母(元宝塚歌劇団の和歌鈴子さん)を長年献身的に介護していたが、その母が同年に他界。深い喪失感(グリーフ)に加え、重度の不眠症やうつ病、さらにはパニック障害の兆候に苦しんでいたとされる。夫である松平健も医師の手配や精神的なサポートに全力を注いでいたが、病魔の進行を食い止めることは叶わなかった。
自宅に残されたのは、まだ母親の死を十全に理解できない当時4歳(幼稚園年中)の長男だった。悲痛な記者会見の場において、松平健は沈痛な面持ちを浮かべながらも、震える声で「幼い息子のためにも、自分がしっかりと前を向いて育て上げなければならない」と語り、父親としての責任を全うする決意を公の場で誓ったのである。