東芝EMIからリリースされたメガヒットアルバム『JAPAN』。その中核を担ったのが、この「しゃぼん玉」である。当時の日本の音楽業界は、華やかな打ち込みサウンドと軽快なポップスがチャートを席巻していた。だが長渕剛は、それらに対する強烈なアンチテーゼとして、泥臭く骨太なフォークロックを叩きつけたのだ。
「しゃぼん玉飛んだ、屋根まで飛んだ」という童謡のフレーズを引用しながら、そこに続くのは過酷な現実と挫折、そして這い上がる者の執念である。風が吹けば一瞬で弾け飛んでしまう儚い泡。それはまさに、虚構の繁栄に浮かれていた当時の社会そのものであり、同時に踏み虙じられながらも生き抜こうとする市井の人々の命のメタファーでもあった。J-POPの洗練されたコード進行とは一線を画す、心臓を直接鷲掴みにするようなメロディラインは、大衆の乾いた心に深く突き刺さった。