SNSやネット掲示板では、時折「ヒッグス粒子の質量測定結果から、宇宙は明日突然、真空崩壊で滅びるかもしれない」といった終末論が拡散されることがあります。この言説の真偽はどうなのでしょうか。
素粒子物理学の標準理論において、ヒッグス粒子の質量(約125 GeV)とトップクォークの質量の組み合わせは、現在の宇宙の真空が絶対的に安定な状態ではなく、準安定状態(偽の真空)にある可能性を示唆しています。理論上、量子トンネル効果によってよりエネルギーの低い「真の真空」への相転移が起きれば、光速で広がる泡がすべての物理法則を上書きして宇宙を破壊します。
しかし、確率計算を検証すると、この現象が明日起きる確率は天文学的にゼロに近い数値(宇宙の年齢である138億年を遥かに超える10100年以上のタイムスケールでしか起こり得ない確率)です。ネット上で見られる過激な煽り文句は理論物理の思考実験を極端に解釈したものであり、直近の現実的リスクとして恐れる必要は全くありません。