『東方異形郷』の物語を語る上で避けて通れないのが、シリーズのクライマックスで描かれた圧倒的な絶望感です。本作のあらすじは、博麗神社を中心とする幻想郷に未知の異変が発生し、親しみ深い少女たちが次々と肉体を変異させられ、理性を失った異形へと変貌していくという過酷なプロットでした。
最終盤における展開では、異変の元凶を突き止めようと足掻く者たちも次々と捕食・融合の犠牲となり、かつての強固な絆や圧倒的なスペルカードの力すら無力化されていきます。多くの視聴者が固唾を呑んで見守った最終回では、従来の勧善懲悪や「異変解決による日常の復帰」という東方Projectの黄金律が完全に打ち砕かれ、幻想郷そのものが生体的な異界へと完全に再編されるビターエンド(破滅的結末)が描かれました。
特筆すべきは、物語のラストシーンに込められた静寂と不気味さです。派手なバトルではなく、異形と化した者たちが蠢く無機質な世界が提示され、画面越しに「もう二度と元には戻らない」という決定的な事実を突きつけられた視聴者の間では、当時ニコニコ動画のコメント欄が阿鼻叫喚に包まれました。