TBS系ドラマ『花より男子』の企画が立ち上がった2005年当時、すでに若手実力派として頭角を現していた小栗旬のもとに、F4の主要メンバーである花沢類役のオファーが届きました。制作陣は、類が持つアンニュイな雰囲気と知的な影を表現できる俳優として、早くから小栗旬を第一候補に挙げていたと当時の制作関係者は証言しています。
ところが、当の本人はこのオファーに強い難色を示していました。当時の小栗旬は、ストリート感のある泥臭い役柄や骨太な舞台作品への出演に強い意欲を燃やしており、キラキラとした少女漫画の王道イケメンを演じることに激しい抵抗感を抱いていたのです。周囲のスタッフに対しても「自分には絶対に似合わない」「柄じゃない」と主張し、マネージャーを通じて辞退する意向を伝えていたといいます。
この膠着状態を一変させたのが、小栗旬の実の姉と母親でした。神尾葉子氏による原作漫画『花より男子』の熱烈な愛読者であった姉は、弟が花沢類役を断ろうとしていると知るや否や猛反発。「あんた何様のつもり?」「類はね、あんたみたいな人が演じられるようなキャラじゃないの!でも、もしやれるなら絶対にやりなさい」と容赦ない言葉で一喝したと、後に小栗旬自身が複数のトーク番組やインタビューで振り返っています。
家族からの容赦ないダメ出しと客観的な後押しを受けたことで、「そこまで言われるなら挑戦してみよう」と腹をくくった小栗旬。家族の強い一言がなければ、日本のドラマ史に残るあの花沢類は誕生していなかったことになります。