タイトルの「アプリオリ」には、普段の生活ではあまり耳慣れない哲学的な背景があります。正しく歌詞を読み解くために、まずはその語源と概念を整理しておきましょう。
「アプリオリ(a priori)」とは、ドイツの哲学者イマヌエル・カントが『純粋理性批判』などで用いたラテン語由来の哲学用語です。ふりがなを振るなら「せんけんてき(先験的)」あるいは「しょうとくてき(生得的)」と表現され、「後天的な経験を経ずとも、生まれつき最初から備わっているもの」を指します。たとえば「1+1=2である」という論理のように、実験や観察をしなくても最初から自明である概念がアプリオリの典型です。
これに対し、経験を積むことで初めて得られる知識は「アポステリオリ(a posteriori:後天的)」と呼ばれます。楽曲タイトルに「無自覚」という言葉が組み合わされている点こそが、本作最大の仕掛けです。「最初からそう決まっていたかのような運命や役割」に無自覚なまま縛られることへの嫌悪と恐怖が、この言葉に凝縮されています。