言葉は生き物であり、時代とともにその手触りを変える。ロングセラー辞典として根強いファンを持つ『新明解国語辞典』を開くと、単なる記号的な定義にとどまらず、人間の意地悪さや社会的ニュアンスまで捉えた味わい深い釈義が並ぶ。言語学の観点からも、対話の本質的な文脈を無視して字面だけを切り取って咎める行為は、対話構造の破壊として分析されている。
文化庁が毎年実施する「国語に関する世論調査」においても、時代ごとの慣用句の認知度や使用傾向の変化が記録されている。明治から大正にかけて活躍した文豪・夏目漱石の小説群でも、登場人物たちが軽妙な江戸っ子気質や知識人特有の皮肉を交え、互いの言葉の端々を捕らえて軽快に言い合う描写が見られる。近代日本の黎明期から今日に至るまで、この言葉は人間関係の機微を雄弁に物語ってきた。