AIが個人の好みを完璧に予測し、不快な情報や興味のないテーマを自動的に排除してくれる時代になった。スマートフォンをタップすれば、数秒後には自分好みにパーソナライズされた動画が再生される。しかし、そうした快適な情報空間に誰もがどこか息苦しさを感じ始めているのも事実だ。
ここ東中野で上映される作品群は、そうした予測可能性とは真逆の位置にある。監督が何年もかけて被写体を追い続けたドキュメンタリーや、商業主義の波に乗らないエッジの効いたインディペンデント作品。画面に映し出されるのは、明確な答えの出ない葛藤や、美しくパッケージ化されていない現実そのものだ。観客はただ消費するために映画を見るのではない。自分の価値観を根底から揺さぶられる体験を求めて、この96席の暗闇に身を置くのだ。