駅から東へ10分ほど歩くと、黒塗りの壁がどこまでも続く幻想的な景観が現れる。半田運河・醸造蔵の街並みだ。江戸時代から続く醸造文化の歴史が色濃く残るこの一帯では、かつて知多から江戸へと酒や酢を運んだ運河が静かに水をたたえている。黒板囲いの醸造蔵が連なる水辺を歩けば、風に乗ってふわりとほのかな酢や麹の甘い香りが漂う。まるで時代劇のワンシーンに迷い込んだかのような感覚だ。
さらに北へ足を伸ばすと、圧倒的な存在感を放つ赤レンガの要塞が見えてくる。「半田赤レンガ建物」だ。明治時代にカブトビールの製造工場として建てられたこの建造物は、国内でも数少ない貴重な赤レンガ建築の遺構。震災や戦災を乗り越えた強固な二重構造の壁は、当時の日本の技術力の高さを雄弁に物語る。館内では復刻されたカブトビールを味わえるカフェも併設されており、建築美に酔いしれながら喉を潤す贅沢な時間を過ごせる。