鳳凰堂の中央に鎮座する国宝・阿弥陀如来坐像は、平安仏教美術の頂点と評される。作者は当代随一の名工、定朝。彼の手による確証ある唯一の現存仏像だ。
定朝は、複数の木材を精緻に組み上げる「寄木造(よせぎづくり)」を完成させ、仏像彫刻に革命を起こした。ふくよかで調和のとれた顔立ち、浅く流れるような衣文のひだ、優美なプロポーション。それまでの威圧的な仏像とは異なり、すべてを包み込むような慈悲深さをたたえている。長押(なげし)の上で楽器を奏で、軽やかに舞う52体の「雲中供養菩薩像」とともに、堂内は阿弥陀如来が信者を迎えに来る「来迎(らいごう)」の瞬間をドラマチックに演出している。