松田美由紀(旧姓・熊谷)は、10代前半からファッション誌のモデルとして活動を開始しました。当時のモデル界でもひときわ目を引くスタイルと、どこか大人びた憂いを含んだ表情は、クリエイターたちの創作意欲を激しく刺激したといいます。少女らしい無邪気さと、ハッとするようなアンニュイな美しさが同居していた彼女は、まさに時代のアイコンとなる資質を秘めていました。
女優としての本格的な一歩となったのが、1979年に公開された映画『金田一耕助の冒険』です。横溝正史ブームのまっただ中に作られたパロディ色豊かな娯楽作において、彼女が見せた鮮烈なスクリーンデビューは、関係者に強い衝撃を与えました。カメラの前に立った瞬間に発揮される度胸と、言葉を超えた演技のセンス。この作品での好演がきっかけとなり、彼女の女優としての歯車が一気に動き出すことになります。