マサさんと鳴宮湊の関係は、単なる指導者と選手という枠組みにとどまらない。二人は「早気」という共通の苦しみを抱えた同病相憐れむ者であり、同時に互いの存在によって救いを見出していく共鳴関係にある。
湊が夜多神社でマサさんの射る姿と「弦音(つるね)」に魅せられた瞬間、二人の運命の歯車は動き出した。マサさんは指導者として湊に寄り添いながらも、湊の真っ直ぐな弓道への情熱に自分自身の原点を思い起こされる。教える側と教えられる側が互いの傷を静かに撫で合い、共に成長していく姿は、本作の持つ最大の情緒的ハイライトと言えるだろう。