一般に「突き指」という呼称は医学的な病名ではなく、指先に対して長軸方向から外力が加わって生じた損傷の総称にすぎません。突き指が治らない理由を深掘りしていくと、単なる靭帯の軽度な捻挫ではなく、小指骨折の症状と見分け方を誤ったまま放置されたケースが目立ちます。
特に警戒すべきは、指先が下垂して自力でピンと伸ばせなくなる「マレット指(槌指)」です。これは、小指の第一関節を伸ばす伸筋腱が断裂したか、腱が付着している骨の一部が引きちぎられる剥離骨折を起こしている病態を指します。外傷直後から皮膚の下に紫色の鬱血が広がる小指の腫れと内出血が顕著な場合、高い確率で骨折や靭帯断裂を伴っています。
日本手外科学会の指導医が警鐘を鳴らすように、「昔ながらの民間療法で突き指を引っ張る」行為は、断裂した腱や折れた骨片の離開を助長する極めて危険な行為です。受傷直後に強い自発痛や拍動痛がある場合、無理に動かさず添え木等で安静を保ち、即座に画像診断を受けるのが鉄則です。