本事件の刑事裁判において最大の焦点となったのは、誤送金された預金をオンライン決済で別口座へ移転させた行為が、刑法第246条の2に規定される「電子計算機使用詐欺罪」に該当するか否かという法解釈でした。
弁護側は「銀行に対して虚偽の情報を入力したわけではなく、自己の預金口座から正規の手順で振替決済を行ったに過ぎないため無罪」と主張。一方の検察側は「誤送金であることを認識しながら、銀行のシステムに正当な権限があるかのように装って決済指令を与えた行為は、システムに対する虚偽の情報提供に当たる」として懲役4年6月を求刑しました。
2023年2月28日、山口地裁は「銀行側の正当な払戻し権限の有無に関する規範的判断を欺く行為」と認定し、電子計算機使用詐欺罪の成立を全面的に認めて懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。田口氏側は控訴・上告を行ったものの、広島高裁および最高裁判所も地裁の判断を支持し、上告を棄却。2024年秋までに執行猶予付きの有罪判決が確定しています。