検索エンジンやSNSで「日産自動車いわき工場」と入力すると、関連サジェストに「閉鎖」や「リストラ」といった不穏なキーワードが並びます。なぜこのような噂が執拗に囁かれるようになったのでしょうか。その背景には、グローバルな経営再編と内燃機関(エンジン)に対する先行き不安という2つの複合的な要因が存在します。
事の発端は、2020年に発表された事業構造改革計画「Nissan NEXT」以降、日産がグローバル生産能力の2割削減やスペイン・バルセロナ工場の閉鎖、さらには2024年秋に発表された全世界で9,000人の人員削減策など、相次ぐ大規模なリストラ策を打ち出したことにあります。世界規模での工場統廃合が進むなか、「エンジン専業工場であるいわき工場も対象になるのではないか」という市場の警戒感が、ネット上の憶測として増幅されたのです。
さらに拍車をかけたのが、欧米をはじめとする「完全EV化」の潮流でした。エンジンを一切積まない電気自動車が主流になれば、エンジンのみを製造する工場は存在意義を失います。この「脱炭素社会における内燃機関の終焉」という巨大な産業構造の転換劇が、いわき工場の将来像に対する悲観論として語られた側面は否定できません。
しかし、自動車業界関係者やサプライチェーン関係各所への綿密な取材調査によると、「2026年現在において、日産自動車いわき工場の閉鎖予定は一切存在しない」というのが揺るぎない結論です。むしろ、昨今の世界的なEV需要の急激な踊り場(一時的な減速)とハイブリッド・高効率エンジンの再評価によって、同工場の持つ価値は再び独自の輝きを放ち始めています。