伊豆半島は全国的にも有数の多雨地域であり、脆い火山性地質と急峻な地形が特徴だ。そこに数十ヘクタールにおよぶ大規模な森林伐採を行い、数十万枚ものソーラーパネルを敷き詰めるという計画に対し、専門家や住民が最も警戒したのが大規模な土砂崩落事故だった。
「ひとたび大雨が降れば、調整池の容量などあっという間にオーバーフローする」。長年防災活動に携わる地元の元エンジニアは、現場の地形を指さしながらそう語る。近年増加する線状降水帯や猛烈な台風の直撃を思えば、斜面の安定性を軽視した造成開発は、下流域に暮らす住民の命と財産を直接的な危機に晒すに等しい。自然の防波堤だった森林を削り取ることへの危機感は、単なる「環境保全」のエゴではなく、生き残るための切実な防御本能だった。