劇場空間にとどまらず、茶の間のテレビ画面を通じて全国の視聴者を魅了した点も忘れてはならない。NHK(日本放送協会)が誇る数々の名作ドラマにおいて、主役や重鎮として見せた存在感は絶大だった。とりわけ1978年の大河ドラマ『黄金の日日』で見せた熱演は、当時の社会現象となり、老若男女を問わず多くの人々の記憶に今なお強く刻まれている。
敷居が高いと思われがちな歌舞伎や伝統芸能の魅力を、テレビというメディアを通じて広く一般に浸透させた功績は計り知れない。重厚な時代劇から繊細な人間ドラマまで幅広く演じ分ける表現力は、演劇界全体の底上げに大きく寄与した。お茶の間に届けられたその声と姿は、世代を超えて多くの文化人に多大な影響を与え続けている。