観光情報誌の表面をなぞるだけでは決して辿り着けない、知る人ぞ知る幻の味覚が存在する。今回の現地取材で浮き彫りになったのは、地元パティシエたちが極少量のみ仕込むアトリエ系スイーツの驚くべき熱気だ。
朝採れの完熟果実だけを使い、保存料を一切使わずにその日の気温と湿度に合わせて焼き上げるタルトや、小規模農園と直接契約して作られる生アップルパイは、店頭に並ぶと同時に瞬く間に姿を消す。観光産業が活況を呈する中で、大量生産に背を向け「ここでしか味わえない鮮度」を貫く職人たちの情熱こそが、旅の満足度を劇的に引き上げる真のキーピースになっている。