郊外を車で走っていると目に入る親しみやすい看板、「コイン精米機 しろっこ」。この愛称で親しまれるマシンを展開しているのが、愛媛県松山市に本社を置く大手農機メーカーの井関農機株式会社だ。大正期に創業者・井関邦三郎が農民の重労働を解放すべく立ち上げた同社は、日本の農業機械産業を牽引するパイオニアとして知られる。
農機開発で培われた脱穀や選別のノウハウは、そのまま精米技術へと転用された。米粒同士の摩擦熱を抑えながら均一に皮膜を削る独自の送風冷却機構は、米の細胞を傷つけず、酸化を防ぐ決定打となった。一見すると無骨なボックス型の外観だが、内部には百年に迫るエンジニアリングの歴史が詰まっている。