沖縄の風景を象徴するシーサーの起源は、エジプトのスフィンクスや中国の石獅子にまで遡る。かつては火難や悪霊を退ける「恐ろしい顔の獣」であることが存在意義だった。だが現代のグラフィックデザインシーンにおいて、その表情は劇的に和らいでいる。
口を開けて福を招く「阿(あ)」と、口を閉じて災いを防ぐ「吽(うん)」。この伝統的な対の構図はそのままに、黒目を大きく、手足を短くデフォルメした造形が瞬く間に支持を広げた。威厳を保ちつつも思わず触れたくなる愛嬌を同居させるバランス感覚こそ、現代のイラストレーションが辿り着いた新たな境地だ。