信託銀行業の根幹を揺るがしているのが、長寿化に伴う判断能力低下の問題だ。金融庁の推計でも高齢者の保有金融資産の凍結リスクは長年警告され続けているが、いざ認知症を発症してからでは有効な契約を結ぶことすらままならない。
公的なセーフティネットとして位置づけられる成年後見制度も、運用の硬直性や高額な報酬負担を巡って敬遠される場面が目立つ。柔軟な財産管理を望む富裕層や中間層の間で、民間信託サービスの需要が急増している背景には、こうした公的制度の使いにくさがある。家族信託と銀行信託のハイブリッド活用など、柔軟な選択肢を手元に確保しておくことが防衛の鍵を握る。