レシピを公開して印税や出演料を得るという旧来のビジネスモデルは、完全に過去のものとなった。現在、料理家を取り巻くエコシステムは高度なフードビジネスへと進化を遂げている。調味料の共同開発、調理家電のプロデュース、さらには企業向けの商品ブランディングまで、彼らの活躍の場は台所を越えて企業の中枢にまで及ぶ。
この潮流の中で、日本フードコーディネーター協会などの業界団体が果たす役割も変わってきた。かつては盛り付けやスタイリングの技術認定が主だったが、現在では食品流通のサプライチェーンやマーケティング理論までを含んだ総合的なディレクション能力が求められている。また、クックパッド株式会社のような巨大CGMプラットフォームも、個人の投稿レシピを集積する場から、影響力を持つクリエイターの知見をデータ化し、食関連産業のDXを支援するハブへと脱皮を図っている。料理家はもはや「先生」ではなく、食市場を動かす事業家としての顔を強く覗かせている。