相手が議論をすり替えてきたとき、最も避けるべき初手は「私の言い方はキツくありません」「過去のことは今関係ないはずです」と、すり替えられた側の土俵に乗って反論することです。詭弁を放った相手の思惑通りに議論が散乱し、相手が優位に立ってしまいます。理路整然と主導権を取り戻すための「屁理屈の撃退法」を3つの手順で実践してください。
第1ステップは、相手の差し出してきた「毒入りの餌(すり替えられた論点)」を一旦受け止めて隔離する技術です。「論点すり替え言い換え表現」として非常に有効なのが、次のような定型句です。
「〇〇さんのご指摘(話し方や別の課題)についても大切な点ですので、後ほど時間を取って必ずお伺いします。まずは現在進行しているプロジェクトのスケジュール遅延について、原因の確認を完了させていただけますでしょうか」
相手の主張を頭ごなしに否定せず、「後回し」として棚上げすることで、相手に反論の口実を与えずに本筋へ引き戻すことができます。
第2ステップは、「論点の再定義と復唱」によるアンカー固定です。相手がストローマン論法で「業務簡略化は質を落とせということか」と絡んできた場合、感情的に弁明するのではなく、淡々と事実のみを鏡のように返します。「私が申し上げているのは、入力フォームの自動化により転記ミスを防ぎ、チェック体制を強化する提案です。品質を落とす意図は含まれておりません。この自動化の可否についてご意見をいただけますか」と、問いの原点に固定し直します。
第3ステップは、二者択一のクローズド・クエスチョンによる追い込みです。ご飯論法のように言葉の定義で逃げようとする相手には、オープンな質問(「どう思いますか」)をやめ、事実確認を「イエスかノーか」「AかBか」に絞り込みます。「公式な報告の有無ではなく、先週木曜日にトラブルの懸念をチャットで把握されていたかどうか、その事実のみをお答えください」と退路を断つアプローチが効果的です。