中国撤退ラッシュの真相とは?日系企業の現在地と2026年の選択

中国撤退ラッシュの真相とは?日系企業の現在地と2026年の選択

中国撤退ラッシュの真相とは?日系企業の現在地と2026年の選択について知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。

なぜ今、多くの日系企業が長年築き上げた現地オペレーションの変更を余儀なくされているのか。そこには複合的な構造要因が横たわっています。

第1の要因は、中国ローカル企業の急速な技術的台頭と日本企業のシェア低下です。象徴的なのが自動車産業です。中国市場で急速に進んだ新エネルギー車(NEV)シフトに対し、日系メーカーはEVラインナップの投入で後手に回りました。BYDをはじめとする現地勢との凄まじい価格破壊競争に巻き込まれ、三菱自動車の現地生産撤退に続き、ホンダや日産自動車も生産能力の削減や人員適正化に着手しました。完成車メーカーの減産は、現地に進出していた下請け部品メーカー数千社に直接的な打撃を与えています。

第2の要因は、カントリーリスクの顕在化と改正反スパイ法の影響です。2023年に施行された改正反スパイ法以降、アステラス製薬の現地幹部拘束をはじめ、日系ビジネスパーソンが当局に拘束される事例が相次ぎました。何が「国家の安全・利益に関わる情報」に該当するのかという定義が不透明なため、通常の市場調査やサプライチェーンの監査活動すら危険視される事態となっています。日本本社の取締役会では「駐在員を派遣し続けること自体のガバナンス責任」が厳しく問われるようになりました。

第3の要因は、「デリスキング(リスク低減)」を旗印とした経済安全保障政策です。米中対立の長期化に伴い、アメリカ政府は先端半導体、AI、重要鉱物サプライチェーンにおいて中国包囲網を敷いています。日本企業も米国の輸出規制や経済安全保障推進法の枠組みから逃れることはできず、対中ビジネスと対米ビジネスの切り分け、あるいはサプライチェーンの再設計を迫られています。

第4の要因が、チャイナプラスワン動向の定着と人件費の高騰です。中国沿海部の製造業ワーカーの平均月給は過去10年で倍増し、東南アジア諸国とのコスト格差は歴然となりました。かつての「世界の工場」としてのコスト的妙味は薄れ、ベトナム、タイ、インド、メキシコ、さらには円安を追い風にした日本国内への生産回帰を選択する企業が相次いでいます。

山崎 陸
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山崎 陸

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