SNSのイラストコミュニティやQ&Aサイトで最も多く見られる初心者の悲鳴が、「バラを描いたはずなのに、どう見てもキャベツかレタスの断面になってしまう」という現象です。
イラスト制作の現場指導を行っているプロ講師の手記や受講生の記録を分析すると、この「キャベツ化」を引き起こす原因は明確に2つの認知バイアスに起因していることが判明しています。
第1の原因は、「同心円状に均等な円を描いてしまうこと」です。人間は無意識に均等な間隔や対称性を保とうとする習性があります。しかし、実際のバラの花弁は一枚ごとに大きさが異なり、互いに少しずつズレて重なり合っています。幾何学的な正円を目指して均等に囲ってしまうと、葉野菜の層状構造と視覚的に一致してしまい、バラらしさが消失します。
第2の原因は、「花びらの縁(フチ)の硬さ」です。硬い線で外側をぐるりと囲むと、外葉の厚い結球野菜に見えてしまいます。これを回避するためには、線を一本で繋げず、花びらと花びらの間にわずかな隙間(抜き)を作ること、そして適度に線を揺らして有機的な柔らかさを出すことが決定的な改善策となります。