なぜスパム業者は、自前のウェブサイトではなくKnight Frankのような外部企業を標的にするのでしょうか。その背景には、検索エンジンが長年培ってきた「ドメインの信頼性(Domain Authority)」をハッキングする、いわゆる寄生型SEO(Parasite SEO)の存在があります。
オンラインカジノやギャンブル関連のキーワードは、検索ボリュームが膨大であると同時に各国の規制対象になりやすく、新規に立ち上げたドメインではGoogleの検索上位に表示させることが極めて困難です。そこでサイバー犯罪グループは、数十年にわたる歴史と公的評価を持つ「Knight Frank」のような世界的企業のドメインに不正アクセスし、外部からは見えにくい階層にカジノ誘導用の隠しページや動画メタデータを仕込みます。
検索エンジンのロボットは「Knight Frankという超高評価ドメイン内の新規コンテンツ」として認識するため、タイ語のバカラ関連キーワードで瞬く間に検索上位へランクインしてしまいます。この手法によって、巨額のアフィリエイト報酬やカジノへの不正送客トラフィックが生み出されていたのです。